乳がんの基礎

◆乳がんについて  

  乳房は15~20の腺葉でできています。 腺葉は母乳を作る小葉と母乳を運ぶ乳管からなっています。   乳がんの約95%は乳管の壁から発生する乳管がんで、がん細胞が増殖し乳管の中 へ広がっていきます。乳管や小葉の中にがんがとどまっているのを非浸潤がんといい、 乳がん全体の約20%が非浸潤がんです。   基底膜を越えて乳管や小葉の外に広がると浸潤がんとなり、乳がん全体の約80%が浸潤がんです。 リンパ節や骨、肺、肝臓、脳へ転移することがあります。   非浸潤がんは早期のがんで転移をおこさないため、この状態で治療できればほぼ完治できます。 しかし、非浸潤がんはしこりを触れないことが多いので早期発見のためにはマンモグラフィや超音波などの検診が重要です。   全ての乳がんは非浸潤がんから始まり、非浸潤がんを放置していると浸潤がんになると言われています。 しかし、直ぐに浸潤がんに進行するものもあれば、何十年もかけて浸潤がんになるものもあり、がん細胞のタイプにより進行スピードに差があると考えられています。
 

乳房の構造

◆石灰化とは?  

石灰化はカルシウムが沈着したもので小さな石のようなものです。石灰化=乳がんというわけではありません。 ほとんどは良性で乳腺症や線維腺腫などの良性疾患で認められます。しかし、まれに悪性の石灰化があります。がん細胞が増殖する過程の分泌物などが石灰化したり、一部のがん細胞が死滅したところにカルシウムが沈着してできます。 石灰化の形、大きさ、石灰化の分布状況などから良悪性の判定をし、悪性の可能性がある場合は要精密検査となります。

乳がんの罹患率

◆乳がんの年齢別罹患率

現在、9人にひとりの女性が乳がんにかかるとされています。 乳がんは他のがんとは異なり若い方の発症も多いがんで、罹患率(かかる割合)は30歳代後半から増加し、40歳代後半と60歳代前半に ピークとなります。 乳がんは罹患率が高く女性がかかるがんの第1位ですが、死亡率は第5位でがんの中では比較的予後が良好です。